限られた容量の中でギアの取捨選択をし、少しでも軽量化したい徒歩キャンプ。
冬のキャンプで最も嵩張り、スペースを取るのが「シュラフ」ですよね。
ということで今回は、軽量・コンパクト化したい徒歩キャンパーの方に、冬用シュラフの種類やおすすめなどを紹介していきます。
また、冬用シュラフは高額なものが多く、簡単に買い替えができないもの。
冬でも暖かく寝られる工夫や注意点と対策なども見ていきましょう!
◇選ぶポイント
●まずはシュラフの基本から
・使用想定温度
1番大事なのはやはり想定される気温です。
冬用シュラフと言っても、使用できる温度によって、値段や重量も変わってくるので、慎重に選びたいところです。
快適温度を目安に選ぶ
メーカーによって表示や文言が違いますが、「快適温度」「コンフォート温度」と記載されていることが多いです。
寒さの感じ方は人それぞれですが、一般的な方が快適に睡眠できる温度で表記されています。
一方、「使用可能温度」「下限温度」「リミット」と記載されている温度は、寒さ耐性が高い人や寝袋の中で丸まってなんとか寝られるという温度です。
さらにメーカーによっては「極限温度」「エクストリーム」などの表記もありますが、頑張れば死ぬことはないかも?ぐらいの温度です。
間違ってもこちらを基準にしないようにしましょう。
キャンプに行くエリアで選ぶ
自身が住んでいる地域、キャンプに行く地域の最低気温を調べておきましょう。
当然、本州なのか北海道なのかでは冬の気温は大違いですよね。
・ダウンか化繊か
中綿の素材が「ダウン」か「化学繊維」かも選ぶ際の大きな基準です。
それぞれにメリット・デメリットがありますが…
結論から言うと、冬用シュラフでは「ダウン」を推します。
「化繊」と言っても様々な種類がありますが、やはりメリットは水濡れに強いこと。
そして価格が比較的安いことですね。
ダウンは濡れると保温力が極端に低下するというデメリットがあります。
ですが、「軽量さ・コンパクトさ」を重視する徒歩キャンプでは、やはりダウンに軍配が上がりますね。
化繊でも軽量なモデルはありますが、保温力が上がるにつれて軽量なモデルは少なくなっていく傾向にあります。
夏用や3シーズンシュラフであれば、化繊も選択肢に入れたいところです。
ということで、僕はダウンシュラフ派ですね。
ただし、価格は化繊の倍ぐらいになってきます…
・形
スクエア
布団に近い形のシュラフ。
窮屈感がなく、足を広げたり寝返りも容易なのがポイント。
しかし、密着性が低いため、冷気が入りやすいというデメリットもあります。
また、余裕のある設計のため、余分なダウンやシェルが生まれてしまい、軽量さや携帯性は低いです。
冬の徒歩キャンプには不向きと言えるでしょう。
そもそもダウンシュラフでスクエア型も珍しいですね。
マミー
冬用シュラフで最もスタンダードな形です。
密着性が高く、冷気の侵入を最低限に抑えることができます。
また、足元にかけて細身になっており、余分がないことで軽量化されています。
しかしその分、窮屈感を感じることも。
メーカーによってはショートモデルやロングモデルなど、サイズを選べるので、自分の身長や体格にあったものを選びましょう。
冬用シュラフの第一候補ですね。
キルト
背中側のダウンがなく、広げると1枚の掛け布団のようになる形です。
ULハイカーが好んで使うシュラフですが、日本ではまだ流通量も少ないですね。
軽量化重視で、つぶれる背中側のダウンは取っ払ってしまい、マットに固定して使うものが多いです。
また、掛け布団のようなので、温度調整がしやすいのもメリットです。
しかし、フードが付いていないことや、上手く調整しないと冷気の侵入があるなど、少し玄人向けな面もあります。
●注意点や対策
ここからは「ダウンシュラフ」を使用するにあたって、注意点やその対策についてお話していきます。
・マットの重要性
いくらシュラフの性能が高くても“スリーピングマット”の性能が低いと「底冷え」してしまいます。
ダウンは空気を含むことで層を作り、断熱しています。
FP(フィルパワー)ってよく聞くかと思いますが、これはダウンの膨らむ量です。
つまり、空気をより多く保持できるかどうかがダウンの性能を示しているんですね。
そして、寝ている時は背中側のダウンは潰れている状態です。
ということは空気の層ができておらず、ほとんど保温力がない状態なわけです。
ってことで地面からの断熱性能が高いマットが重要ということです。
・結露や濡れについて
冬場のテントやタープ泊は結露が付きものです。
比較的、結露のしにくいダブルウォールテントでも結露はします。
テントなどにシュラフが触れて濡れてしまったり、シュラフそのものが結露したり、湿気や雨で濡れてしまうこともありますね。
ダウン最大の弱点は“水濡れ”なので、結露・水濡れ対策はしておきたいところ。
対策1.撥水加工シェル・撥水ダウンを選ぶ
結露対策としてシェル(生地)に撥水加工が施されているシュラフは多いです。
ただし、加工が施されている分、重量が増すということもあります。
また、ダウン自体に撥水加工が施されているものもありますが、比較的お値段が高いものが多いですね…
対策2.シュラフカバーやインナーシュラフ
まず、結露対策としてよく使われるのが「シュラフカバー」ですね。
防水性能があるカバーをシュラフに被せることで、水濡れや汚れから守るだけでなく、保温性も高まります。
その反面、シュラフカバーとシュラフの間で結露が発生するということもあります。
そこで、通常シュラフの中に入れる「インナーシュラフ」を、カバーとシュラフの間に挟んで結露対策をしている方なんかもいますね。
ただし、重ねる分だけ窮屈感は増してしまいます…
このあたりは悩ましい問題ですよね。
・保管や手入れについて
ダウンは云わば「生もの」なので、保管や手入れには気を使わなければいけません。
収納袋に入れる時は、ダウンの偏りを減らすために、ランダムに入れていきます。
そして自宅などで保管する際は、ダウンを潰してしまわないように、ゆとりのある袋かつ、通気性の良いメッシュタイプが好ましいでしょう。
また、湿気が多い場所での保管や濡れたまま放置すると、臭いや虫食いの原因になります。
使用後は干して湿気を取り除いてから保管するようにしましょう。
また、ダウン製品の洗濯は基本手洗いですね。
クリーニング店に持っていく手もありますが、自宅で洗うことはできます。
その際は一般的な洗剤ではなく、ダウン専用の洗剤を使います。
メーカー推奨の洗い方をホームページなどで確認しましょう。
◇快適さをアップするために
・レイヤリング
シュラフとシュラフを重ね合わせて使用することです。
冬用シュラフは高価かつ、限られたシーズンしか使用できません。
快適性や行動範囲が広がったりとメリットはありますが、「そんなものにお金をかけられないよ」って方もいると思います。
そんな時に「夏用シュラフ」×「3シーズン用シュラフ」などのレイヤリング。
さらにプラスで「シュラフカバー」で3枚重ねなどもあります。
ただし、注意点もあります。
それは快適温度がハッキリと分からないこと。
これは使ってみて、経験を重ねていくしかありません。
毎回のキャンプで気温などを計測して、自分自身で「快適温度」を導いていく必要があります。
・シュラフカバー&インナーシュラフ
結露対策でも紹介したシュラフカバーとインナーシュラフ。
もちろん結露対策としても快適性を上げるアイテムですが、プラスアルファで保温性もアップさせる役割も果たします。
シュラフカバーにはアルミ蒸着が施されており、保温性重視なものもあります。
インナーシュラフは身体の汗や汚れからシュラフを守り、面倒なシュラフのお手入れの手間を省く役目にもなります。
これらは必須アイテムではありませんが、格段に快適性向上に繋がりますね。
・就寝着
就寝時の服装についても悩ましいところですよね。
限られたアイテムしか持っていけない徒歩キャンプに、パジャマを別で持っていくのも嫌だし、だからと言って汚れた服でシュラフに入りたくないし…
まあ僕は多少汚れていてもそのままシュラフに入ってしまいますが(笑)
ただ、気を使っているところも多少はあります。
インナーは「メリノウール」を着ています。
調湿性に優れており、天然のエアコンなんて呼ばれる素材ですね。
さらにチクチクしないところも就寝着に最適なポイント。
そして何より臭わない!
風呂に入ることができない状況でも、1、2泊程度なら臭いません。
気温にもよりますが、僕は上下メリノウールだけで就寝することもあります。
・湯たんぽ
間違いなく暖かくなるやつです。
でも大きい湯たんぽは徒歩キャンプに持っていけないので、僕は「ナルゲンボトル」を湯たんぽとして使うことがあります。
100℃まで耐えられる素材なので、お湯を入れてタオルを巻いて、シュラフの足元に突っ込みます。
あとは最終手段のカイロですね。
就寝時のカイロは推奨されていませんが、保険として1~2枚は持っていきます。
保険があると心のゆとりにもなりますしね!
こちらでは“格安”防寒アイテムを紹介しています▽
◇おすすめ冬用シュラフ
NANGA/AURORA TEX light 600 DX
言わずと知れたナンガの人気シリーズであるオーロラシリーズ。
快適温度は「−4℃」と冬でも使えるスペックです。
重量は「1100g」と少し重いですが、ナンガが独自に開発した透湿防水素材“AURORA TEX LIGHT”によって、ダウン最大の弱点である“濡れ”に強くなっています。
さらに寒冷地仕様が欲しい場合は、快適温度が−8℃の「750DX」もあります。
SEA TO SUMMIT/スパークSpⅢ
軽量さを重視しつつ保温性にも特化したモデル。
快適温度「−2℃」ながら重量は「665g」と超軽量。
850FP以上の高級グースダウンにさらに撥水加工までされた“ウルトラドライダウン”が使用されています。
軽量かつ高性能のハイスペックシュラフです。
mont-bell/シームレス ダウンハガー800 #1
ナンガと並ぶ、国産2大ブランドの一角であるモンベル。
人気シリーズである「シームレスダウンハガー」
その中でも快適温度「−3℃」と冬キャンプにも使えるモデルです。
やはり特徴としては、縫い目が少ないため、気密性がより高まっている点。
生地も独自の「バリスティック エアライト」という素材を使用し、耐久性を保ちつつ軽量性にも優れています。
重量は「866g」とかなり軽量ですね。
SEA TO SUMMIT/エンバー EbⅢ
スパークSpⅢでも紹介した「SEA TO SUMMIT」
こちらは“キルト”タイプのシュラフです。
スパークシリーズと同じく850FP以上の“ウルトラドライプレミアムグースダウン”が使用されています。
快適温度「−10℃~−4℃」で重量は「725g」
キルトタイプは、マットへの固定の仕方、ダウンジャケットのフードを使うことを想定など、使い方によって変わるので快適温度に幅が設けられていますね。
最大「−10℃」まで対応できるのは凄いですよね。
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