キャンプの最重要アイテムのひとつであるテント。
テントには様々な種類や形がありますよね。
また、ひとえに“徒歩キャンプ”といってもスタイルによってギア選びも変わってくるかと思います。
どんなスタイルでも、軽量さと携帯性は必須要件になってきます。
その他、「居住性」「見た目」「素材」なども選ぶ基準になりますよね。
ということで、今回はソロテントの種類や特徴などの基本的な部分から、選ぶ基準、おすすめ軽量テントまで紹介していきます。
◎徒歩キャンプの“マットの選び方”はこちら
◎徒歩キャンプの“冬用シュラフの選び方”はこちら
◎徒歩キャンプの“熱源の選び方”はこちら
◇テント選びのポイント
●形で選ぶ
・ドームテント
最もベーシックな形のテント。
設営方法も単純で居住空間も広く、種類も豊富です。
また耐風性も高く、山岳テントに多く使われています。
・ワンポールテント
角をペグ打ちして、1本のポールで立ち上げるテント。
軽量かつ設営が簡単で、耐風性に優れているのが特徴です。
ポールがあることと、デッドスペースが生まれがちなので、居住空間が狭くなるのはデメリット。
・ツーポールテント
前後2本のポールで立ち上げるテント。
ワンポールと比べて、設営がひと手間増えますが、居住空間が広くなります。
1.5人用~2人用のテントに多いです。
・パップテント
こちらも2本のポールで立ち上げますが、前後ではなく左右にポールがきます。
そして前面に大きく開くのが特徴。
ミリタリー系テントに多く、見た目もカッコいいですが、軽量なものは少ないです。
●設営方法で選ぶ
・自立式
ドーム型テントに多く、ペグ打ちをせずともテントの形になるものを「自立式」と呼びます。
メリットとしては設営後の移動が容易なこと。
設営してから「地面の凸凹が気になる」「近くに迷惑キャンパーがきた」などの理由でテントを動かしたいと思うこともあります。
・非自立式
ペグ打ちをしなければテントの形にならないものを「非自立式」と言います。
ワンポールテントなどがそうですね。
特徴としては、ポールが少ない分、軽量なものが多いです。
設営については、ワンポールテントなどは単純ですが、パップテントなどは少しコツがいりますね。
また、張り具合がテント内の居住性や耐風性などに関わってきます。
・半自立式
ペグを打たなくても自立はするけど、テントの形にはならないものを「半自立式」と言います。
ポールではなく、ペグダウンすることで居住空間を広げており、軽量さを追求したテントに多いですね。
しかし非自立式同様、張り具合が大事になってきます。
●使用環境で選ぶ
・シングル/ダブルウォール
テント選びの最大の基準のひとつとして「シングルウォール」か「ダブルウォール」かがあります。
これもそれぞれにメリット・デメリットがあります。
●シングルウォール
名前の通り一枚の壁となっており、テント本体に防水性が備わっています。
設営が簡単で、軽量なモデルが多いです。
デメリットととしてまず挙げられるのが、結露が発生しやすいこと。
そして前室がないモデルが多く、居住性は劣ります。
●ダブルウォール
フライシートとインナーテントに分かれており、二重構造になっているテント。
結露の発生を抑えることができ、居住空間も快適なテントが多いです。
一方、シングルウォールに比べると重量が増すことと、フライシートを被せる分、設営の手間が増えます。
ダブルウォールテントにはインナーテント単体、フライシート単体で使用可能なものもあります。
通気性の高いインナーテントのみで蚊帳として使用したり、フライシートのみでシェルターとして使用するのもアリですね!
・耐風防水性
●耐風性
キャンプでの天敵は「風」です。
耐風性はかなり重要なポイント。
その点、登山で使われるドーム型の山岳テントは耐風性に優れています。
また、ワンポールテントも風を受け流す形になっているため、耐風性は高いでしょう。
一方、パップテントのように、風をモロに受けてしまうような形のテントは、強風時の使用は避けたいですね。
●耐水性
耐水圧〇〇㎜という表記がされています。
一般的には1500mm~2000mmあれば大雨にも耐えられると言われています。
逆に耐水圧が高すぎるテントは、それだけ通気性が悪くなってしまいます。
夏は蒸し暑く感じたり、寒い時期は結露が発生しやすくなりますね。
個人的に耐水圧はさほど気にしなくていいと思っています。
よっぽど粗悪品のテントでなければ大丈夫です。
あとはコーティングによって変わりますが、その話は後ほど…
それよりも気にするのは「縫い目」です。
雨などが沁みてくるのは縫い目からがほとんどです。
一般的なテントは「シーム処理」が施されていますが、シームテープは劣化します。
中古のテントを購入される方は要注意です。
また、軽量テントにはもとからシーム処理がされていないテントもあり、「必要な箇所は自分でシーム処理してね」っていうテントもあります。
・出入口の向き
出入口が「長辺」にあるのか「短辺」なのかもポイント。
長辺にあるメリットとしては、居住性の高さです。
出入口が広いため、出入りもしやすく、テント内から景色を眺められたりと、快適になります。
また、テント内に座り、前室部分で食事を取ったりするスペースも広くなりますね。
短辺のメリットとしては、狭いスペースに設営がしやすいこと。
登山などで岩場の隙間や、崖の近くなどにテントを張る際には短辺が向いています。
また、出入口を風下にした時に風を受ける面積が少ないため、耐風性にも優れています。
キャンプでの使用と考えると「長辺」の方が使いやすいですね。
今後、登山もやりたいっていう方や、様々なシチュエーションで張りたい方は「短辺」を検討してみても良いかもしれません。
・通気性
●ベンチレーション
テントについている「通気口」です。
ほとんどのテントついていますが、数や大きさで換気力が変わってきます。
●メッシュ
ダブルウォールテントのインナーには3シーズン用と4シーズン用があります。
3シーズン用になると、メッシュが多く配置してあり、通気性に優れている反面、冬は寒気も取り込んでしまいます。
4シーズン用はメッシュが無かったり少なかったりと、寒気が入らないような構造になっています。
●スカート
フライシートについているヒラヒラですね。
通常のフライシートは地面との間に隙間が空いており、通気口となっていますが、スカートが付いていることによって、地面との隙間を少なくして寒気の侵入を防ぐ役割となっています。
寒い時期には重宝されますが、通気性が悪くなり、結露の原因にもなってしまいます。
スカートを取り外したり、捲り上げられるテントもありますね。
通気性に関しては一長一短なので、悩ましい部分でもあります。
オールシーズンでキャンプをするのであれば、季節ごとに使用するテントを変更したり、工夫して快適性をアップさせたいですね。
●快適性で選ぶ
・サイズ
●長さ
ほとんどのテントが2mほどはあるので、余程の高身長でなければ問題ないかと思います。
ちなみに僕はバックパックを足元に敷いて、その上に足を乗せて寝たりするので、荷物の置き場にもあまり困りません。
●横幅
快適性は横幅によってかなり変わります。
居住性を求めるのであれば、横幅100cm以上は欲しいかなと思います。
また、1.5人用や2人用サイズをソロで使うのも快適性は格段にあがります。
数百グラムしか変わらないというモデルもあるので、是非検討したい点です。
その他、足元にかけて細くなっているテントもありますね。
●高さ
座った状態で天井に頭が付くか付かないかは居住性に関わる重要ポイントです。
テント内で座って過ごすことも多いので、自身の座高を把握しておくとテント選びに役立ちますよ。
・前室
これがあるとないとでは快適性にかなり差がでます。
前室は風除け、目隠し、荷物置きなどの役割を果たしてくれます。
ダブルウォールテントであれば、大抵の場合前室がありますね。
靴を前室に置けるだけでもありがたいです。
・キャノピーの有無
フライシートの出入口を跳ね上げて、日除けや雨除けになるテントです。
テント自体の重量が増えることや余分にポールが必要になるため、山岳テントや軽量モデルには付いていないことが多いです。
ただ、テントに小さいタープが付いているようなものなので、快適性はかなりアップします。
●素材で選ぶ
・生地の種類
一般的なテントに使われている生地には以下のものがあります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ポリエステル | ・比較的安価 ・紫外線に強い ・比較的軽量 | ・火に弱い |
ナイロン | ・軽量 ・速乾性が高い ・柔軟性が高くコンパクト | ・火に弱い ・高価 |
コットン | ・吸水吸湿性が高い ・遮光性が高い ・火に強い | ・重たい ・嵩張る |
ポリコットン | ・コットンとポリエステルの良いとこどり | ・コットンよりは軽量だが重く嵩張る |
それぞれに特徴やメリット・デメリットがありますが、軽量性を重視するのであれば、「ポリエステル」か「ナイロン」の2択ですね。
ミリタリースタイルな重量級徒歩キャンパーでも「ポリコットン」が精一杯でしょう。
バックパックでのキャンプであればやはり「ナイロン」がおすすめ。
山岳テントなどによく使われており、最も軽量・コンパクトな生地です。
ポリエステル生地では軽いもので「1kg台後半」っていうイメージですね。
・生地の厚み
生地の厚みは使われている糸の細さで決まります。
糸の細さは「デニール(D)」で表します。
値が低いほど薄い生地になり、テントの重量に直結します。
軽量テントでは「20D~40D」が多く、中には「10D」なんかもあります。
また、重量だけでなく、薄いほど携帯性も向上します。
薄い生地のテントは、しっかりと畳まずに収納しても、さほど嵩張らないこともメリットです。
しかし生地が薄くなるほど、耐久性も低くなります。
地面状況によって、グランドシートの利用や設営場所に気を使う必要がありますね。
グランドシートの分重量が嵩んでしまうと、本末転倒ということにもなるので、注意して選びたいです。
・コーティング
ポリエステルやナイロン生地のテントには防水コーティングが施されています。
主に「PU(ポリウレタン)コーティング」と「シリコンコーティング」の2種類。
一般的なほとんどのテントにはPUコーティングがされています。
理由は「安価」なため。
水や湿気に弱く、テントを乾かさずに保管したり、湿気の多い場所で保管すると劣化が早まります。
加水分解という言葉を聞いたことある方も多いのではないでしょうか。
どれだけ気を使っていても、経年劣化はしていくので、消耗品と割り切ることも大切ですね。
一方、シリコンコーティングは生地にシリコンを染み込ませており、主にナイロン生地に使われています。
これを「シルナイロン」と言います。
ツルツルスベスベした生地です。
PUコーティングに比べて劣化しにくいというのがメリット。
同じように扱っても2~3倍ほど長く使えるらしいです。
ただし、やはり「高価」になってきます。
◇ULテントについて
・ULテントとは
UL(ウルトラライト)テントは主にテント泊登山やロングトレイルのために生まれた“超軽量”テントです。
軽量さやコンパクトさだけでなく、過酷な環境下での使用を想定されているため、耐風耐水性などの機能面にも優れているのが特徴です。
反面、キャンプで使用するテントのような居住性はないと思った方が良いでしょう。
また、軽量かつ機能性に優れた素材を使っているため、高価になってきます。
とはいえ、とことん軽量化したい方や移動距離が多い方にはオススメです。
また、特殊な形や奇抜なデザインのテントも多く、マニアックなテントを探されている方にもハマるかと思います。
・ULテントの素材
様々なアウトドアファブリックが使われています。
ULテントに使用される代表的な軽量素材で言うと…
・20D以下の極薄ナイロン
・タイベック
・DCF(Dyneema Composite Fabric) など
どれも防水性や強度などの機能性に優れ、軽量な素材のため、テントに使われるとなると高価になってきます。
特にDCFのテントとなると10万円超はザラですね…
・フロアレステントについて
ウルトラライトスタイルでよくある「フロアレステント」
名前の通りテントのフロア部分がなく、シェルターのようなテントです。
ダブルウォールテントのフライのみを単体で使用してフロアレス化などもできますね。
フロアレステントって実際どうなの?
僕は「季節や場所を選べば快適」だと思っています。
かなりの軽量化になるし、自然とより近い感覚になるので、キャンプというか自然自体を楽しめるような気がしています。
もちろん今からキャンプを始めるような初心者の方にオススメはしません。
ある程度テント泊に慣れてきた方や、普通のキャンプに飽きてきた方には是非とも挑戦してもらいたいですね。
一回寝ることができれば意外と「こんなものか」って思う筈です(笑)
フロアレスでの快適性アップや注意点・対策、おすすめフロアレスシェルターはこちら
◇まとめ
ここまで軽量ソロテントの種類から特徴などあれやこれや書いてきましたが、「結局どれがいいの」と思っている方もいるでしょう。
とは言っても正解がないという回答になってしまうので、
「僕が今から徒歩キャンプを始めるとして、最初に買うならこういうテント」
っていう形で勘弁してください(笑)
僕が買うなら…
「重量1.5kg未満」の「ドーム型」で「ダブルウォール」かつ「インナーテントが自立式」で「出入口は長辺」にあり、「ポリエステルかナイロン生地」で「見た目が気に入った」テントです。
あとは「コスパ」がいい。
該当するテントは結構あるのではないでしょうか?
あくまで初心者の最初の一張りなので、安牌なとこだと思います。
快適性と軽量性と値段のバランスを取りに行った感じです。
どうせ2つ3つと新しいのがすぐに欲しくなります。
その時に汎用性が高いものを持っていると、1つ目を使わなくなったということがなくなります。
ということでした!
最後に1張り目で迷っている初心者の方~2張り目、3張り目が欲しくなった方におすすめの軽量テントを紹介します。
◇おすすめ“軽量”ソロテント
定番から高コスパテントまでオススメの軽量テントを紹介します。
カッコ内は最小重量(ペグやガイロープなどを除いた最低限の重量)かつ1人用で記載してあります。
●mont-bell/ステラリッジ テント(1.14kg)
山岳用テントのド定番。
モンベルはやはり安心感がありますね。
インナーテントとフライは別売りなので注意が必要ですが、レインフライやスノーフライなどを選ぶことができ、様々な気候や環境で使えるようになっています。
記載した重量はレインフライを含む重量です。
●NEMO/HORNET OSMO(0.82kg)
ダブルウォールテントながら1kgを切る超軽量テント。
軽量さのために無駄を削ぎ落したような各パーツとなっていますが、NEMO独自の居住空間が快適になる工夫がいくつもされています。
●ARAI TENT/TREK RAIZ 1(1.46kg)
国産山岳テントで評判の高いアライテント。
その中でも居住性の高いトレックライズ。
さらに軽量さを求める方はトレックライズ“0”もあります。
●MSR/エリクサー(1.78kg)
今回紹介するものの中では1番重量がありますが、快適性が高いのがポイント。
前室や室内空間が広く、天井部に短いポールが入っていることによって、箱型に近い空間設計となっています。
有名メーカーの軽量テントの中では価格も安い方ですね。
●ZEROGRAM/El CHALTEN ZEROBONE(1.14kg)
ダブルウォールテントですが、フライとインナーとフットプリントを連結して、同時に設営できる構造。
設営時間は3分です。
長辺両側が開閉でき、両方に前室があるのも魅力です。
吊り下げ式のインナーのため、フライのみで設営すればフロアレステントにもなります。
●3F UL GEAR/Lanshan(0.76kg)
山岳系中華ブランドの高コスパULテント。
はじめてのULテントにオススメです。
ダブルウォールで760gと超軽量。
ポールはトレッキングポールなどを流用して設営します。
●Naturehike/Cloudup UL(1.06kg)
人気中華ブランドのネイチャーハイク。
その中でも人気シリーズであるCloudupの最軽量テント。
1.06kgの軽量さで低価格とかなりのコスパです。
◎徒歩キャンプの“マットの選び方”はこちら
◎徒歩キャンプの“冬用シュラフの選び方”はこちら
◎徒歩キャンプの“熱源の選び方”はこちら
コメント